武道と東洋医学に基づく「氣」の調和で腰痛を改善する

健康総合

武道歴40年、整体歴12年の経験から、東洋医学の知恵を活かした身体メンテナンス法をご紹介します。武道の世界では身体に流れる「氣」の調和が、健康と高いパフォーマンスの鍵だと考えられてきました。今回は特に腰痛に焦点を当て、「氣」の視点から見た原因と改善法について解説します。

(文: 橋本)

「氣」とは何か―目に見えない命のエネルギー

東洋医学において「氣」は、人間の生命現象の根幹を成す基本概念です。「気とは、万物を成立させ、生命現象をおこさせるもの」とされ、東洋医学の全体観・統一観の根拠となっています12。簡単に言えば、人の生命を支え、育む見えないエネルギーですが、その作用は決して抽象的なものだけではありません。

武道や東洋医学の世界では、「氣」は流動感、圧力感、熱感などとして実際に感じることができると考えられています。熟練した鍼灸師の治療を受けると、ツボを中心にだるさや重さ、水の流れるような感覚を体験することがあります。これらはすべて「氣」の作用の表れなのです。

腰痛と「氣」の関係―「実証」と「虚証」

東洋医学では、体の不調を「氣」の乱れとして捉えます。「気滞(きたい)」と呼ばれる氣の流れが滞った状態が様々な症状を引き起こすのです11。腰痛もその一つで、「氣」の視点から見ると大きく二つのタイプに分けられます。

1. 実証(じっしょう)―「邪気」が溜まった状態

腰の筋肉が張って硬くなり、動作開始時に鋭い痛みが走るタイプの腰痛は、多くの場合「実証」に分類されます。これは「邪気」が溜まった状態であり、余分なエネルギーを取り除く必要があります。

2. 虚証(きょしょう)―「氣」が不足した状態

冷えにより腹部の筋肉や内臓が弱り、常に疼痛を感じる腰痛は「虚証」の典型例です。「氣」が不足している状態で、エネルギーを補給する必要があります16

実際には、もともと「虚証」でありながら、その部分を庇うために他の筋肉が「実証」の状態になっているという複合的なケースも多くあります。その場合は、それぞれに適した対処が必要です。

「氣」を整える二つの方法―「瀉法」と「補法」

東洋医学では、「氣」の状態を整えるための二つの基本的なアプローチがあります。

実証に対する「瀉法(しゃほう)」

余分な「邪気」を取り除く方法で、鍼灸では主に「針」で行います16。武道式整体では以下の方法で行うことができます:

  1. 痛みのある部分で最も強張っている箇所を探す
  2. その部分の皮膚を筋肉の走行に沿って軽く伸ばす
  3. 痛みが軽減する方向を見つけ、その方向に皮膚を軽く引っ張る
  4. その状態で、痛みが出ない範囲で筋肉をゆっくり動かす
  5. 動作を繰り返すと、徐々に可動範囲が広がり、痛みが軽減する

例えば腰痛の場合、最も張っている部分の皮膚を上または下に軽く伸ばし、痛みが軽減する方向を見つけます。その状態で腰を少しずつ曲げ伸ばしすると、徐々に痛みなく動かせる範囲が広がっていくのです。

虚証に対する「補法(ほほう)」

不足している「氣」を補う方法で、鍼灸では主に「灸」で行います16。武道式整体では、手のひらを擦り合わせて温め、その温かい手で皮膚表面を優しく擦りながら熱を伝えることで行います。

皮膚には温度感覚を感じる受容器が存在し、この刺激によって深部の筋肉や内臓にまで温かさが伝わります。氣を意識して行うと、不思議なことに深部の筋肉の拘縮が緩むことが多いのです。

個人差と施術の選択

これらの方法は刺激が優しいため、本当に効くのかという疑問が起こるかもしれません。現在の鍼灸治療院では現代医学の筋肉・神経反応に基づいて「針」を刺して筋肉を刺激するところが多いですが、古来から伝わる技法を使って行う鍼灸院もわずかに存在します。こういった鍼灸院では、脈診といって、東洋医学の診断法の核心を成す技術を使って、手首の脈拍を詳細に分析することで全身の健康状態を把握し、「針」は刺された自覚すら感じない皮膚の表面だけに刺激を与えるような刺し方で行います。驚くことに、このような鍼灸院では、筋肉の問題以外に、内臓疾患など様々な病状にも対応し大きな治療効果を出しています。しかし、現代風の鍼灸が最高と思っている人が腰痛などでこのような鍼灸院を訪れると、筋肉への刺激がないため、効果が殆どないように感じるようです。

これと同様に、この武道式整体の方法は、人によって効果に差があることも知っておく必要があります。私の経験から、強い刺激の施術を好む方には物足りなく感じられることもあり、施術自体を嫌う傾向があります。また、強い刺激を行う施術家や整体師の人は効果を否定する傾向にあります。

私見ですが、これらの施術は、皮膚の感覚受容器や筋膜の感覚受容器が関連していると考えております。それで、一般的にこれらの感覚受容器は心理的影響を大きく受けやすいといわれていますので、そのため先入観の強い人に施術を行っても効果が薄いのもと思われます。

一方で、優しい刺激を好む方には驚くほどの効果が表れることも少なくありません。私の知人の整体師の方で、弱い刺激で施術を行っている人には驚くほど効果がでたこともあります。合わないと思った方は、このような点から自分に合った方法を見つけることが大切です。

また、深部の張りがとれないときは、実はそこから離れた場所に原因があるため、上記の効果が出にくい場合もあります。中々原因個所が特定できないときは、その個所に強い刺激で行うと良くなることもあるので、臨機応変にこれらの技術を使うことが肝心です。

氣の調和を日常生活に取り入れる

東洋医学では「気はエネルギー、血はカラダの中を流れる赤い液体(血液)、水はカラダの中を流れる血以外の液体」という「気血水」の考え方があります14。これらがバランスよく体内を巡っている状態が健康とされています18

「病は気から」という言葉があるように、日常生活の中でも「氣」の調和を意識することで、身体の不調を予防できます。適度な運動、深い呼吸、バランスの良い食事、十分な休息などは、すべて「氣」を整えることにつながります。

武道や東洋医学の知恵は、数千年の時を経てなお、現代の私たちの健康維持に役立つ貴重な財産です。ぜひ日々の生活に取り入れて、心身の調和を図っていただければと思います。

氣の調和を保つための日常生活の具体的習慣

腰の不調に限らず、身体の不調を遠ざけられるよう氣の調和を日々の生活で保つためには、心身のバランスを意識した生活習慣を取り入れることが重要です。東洋医学や養生の観点から、以下のような具体的な習慣が推奨されています。

1. バランスの取れた食事

  • 季節や体調に合わせた旬の食材を選び、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう5
  • 朝食をしっかり摂ることで生体リズムが整い、氣の巡りも良くなります4

2. 規則正しい生活リズム

  • 毎日同じ時間に起床・就寝し、生活リズムを整えることで氣の流れがスムーズになります24
  • 夜は就寝3時間前までに食事やお酒を済ませ、睡眠の質を高める工夫をしましょう4

3. 姿勢を正す

  • 心理学でも心と体は密接につながっているといわれて、姿勢は心の状態が反映し、逆に心は姿勢の取り方が反映します。気は心の状態で大きく影響を受けますので姿勢は非常に大切です。さらに、体で正しい姿勢を保つことで、腰への負担を軽減できます。座っている時や立っている時は、背筋を伸ばし、肩をリラックスさせることが大切です。8

4. 適度な運動

  • ウォーキングやストレッチ、太極拳、ヨガなど、無理のない範囲で身体を動かすことが氣の巡りを助けます56
  • 日中の適度な運動は夜の睡眠にも良い影響を与えます6

5. 十分な休養と質の良い睡眠

  • 睡眠は氣の回復に不可欠です。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、静かで暗い環境を整えましょう467

6. 深い呼吸や瞑想、リラクゼーション

  • 呼吸法や瞑想を日常に取り入れることで、心身をリラックスさせ氣の調和を高めます56

7. ストレスのコントロール

  • 趣味やリフレッシュの時間を持ち、ストレスをため込まないようにしましょう67
  • 感謝の気持ちを意識したり、他者との良好な関係を築くことも、心の安定と氣の調和に役立ちます57

8. 入浴やセルフケア

  • 湯船につかることで心身の緊張がほぐれ、氣の流れが整います7

これらの習慣を毎日の生活に無理なく取り入れることで、氣の調和が保たれ、徐々に身体の不調が無くなり、心身ともに健やかに過ごすことができます156

まとめ

武道や整体を通じて、「気」を整えることは腰痛予防にとても重要です。気を整えることで、体が元気になり、日常生活も快適に過ごせるようになります。今回紹介した方法を試してみて、腰痛を予防し、健康的な生活を送ってくださいね!気を意識して、毎日をより良いものにしていきましょう。

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